上棟式には神式、仏式、不動様などによる上棟式があります。
上棟式とは建主と大工たちが 建物に災禍が起こることなく永遠に居住者の
繁栄を祈願するという儀式です。
この儀式は人々が神仏に祈る真心がある限り、断承されると思われます。
上棟祭は大工が祭主として行う儀式で、大工や大工の流派によって、
しきたりや祭具が違います。
神式の上棟式は建物に関係する神様の降臨を受けて行います。
その降臨していただく祭神も、大工の流派によってちがいがあります。
通常、建築に関連する屋船(やふね)大神を中心にした神を祭神にする大工と、
天之御中主神(太陽神)を中心にした祭神の二とおりがあります。
最近は略式の上棟式が多く、棟に祭神の祭壇を造り、建物や居住者の鬼神の厄災を防ぐために、
幣串の弓と鏑の矢、土地にまつわる悪神を追い出すために槌(掛矢、玄能)を祭具としておきます。
そして建物の陰陽の和合を願うために5色の布を翻します。この5色の根拠は、建物は生物で、
建物の構造には木材(陽)と土や金物(陰)で構成されます。
その陰陽の和合を念願するものとされています。
祭壇の中央には神の依代となる榊を立て、その前に祭神の名前を記した簡(棟札)をかざり、
大工が祝詞を献しない場合には曲尺の裏の文字をだし曲尺を立てて飾ります。
曲尺の裏にある8つの文字は、家相の八方の方位を勘案してあり、また、上棟式の祭神に対する
祝詞文になっています。
上棟式の祭壇に供えた槌は、祝詞をあげてから祭神に拝礼します。
そして、建物の長寿を願うために、この槌で千歳(せんさい)と呼びながら4回打ち、
間を置いて万歳(まんさい)と1回叫んで棟木を打ちます。これで儀式は終わります。
山内建匠では、新築の場合は本式で行います。 上棟式は天之御中主神(太陽神)を
中心にした祭神で行っています。 増築の場合は施主さんの意向を聞き本式の場合と
略式の場合とのどちらかで行います。
最近では上棟式を行う事を省く 建築業者が大半です。特にハウスメーカーでは行わない事が
通常になっています。
私はその土地に 長年住む家を建て棟上げを行う(建前え)ことは、
この国では必ず行われた神事ですので、大工として先人から代々受継がれてきた
上棟式は大事に考え、後世にも引き継ぎ・受継がれて欲しいと思います。